
私的イメージでは、工学というと「いかに人間活動を向上させるのか」という学問分野のように思っています。
「風」+「工学」ですから、自然現象である「風」に対し、人間が知恵比べを挑む!といった話になるのでしょうか?
毎度のことながら、私にとっては全く未知の分野です。
今回の語り手は九州工業大学の木村先生です。
メールでのやりとりのみで打ち合わせをしていたので、会場のcreamの場所は分かるかなーと大通りに出て待っていたのですが、お店に戻るとすでに来場、食事を楽しんでおられました。「疾きこと風の如し」・・・。
講演開始早々に登場したのはアメリカ、タコマ橋です。
風でぐらぐら揺れて、あっという間に壊れてしまうという映像!
この落橋事件以降、科学的な視点が橋作りに組み込まれることになったそうです。
これは講演後に木村先生から聞いたのですが、木村先生が風工学の世界に進んだのは、中学(高校だったかな?)時代に授業で見た、このタコマ橋の映像が印象に残っていたからだそうです。
確かに、かなりインパクトのある映像です。YouTubeで見つけました。こちらです。
さて、科学的な橋づくりということですが、こんな橋の形なら、こんな風の影響があるという理論があって、コンピュータでシュミレーションして設計するというイメージだったのですが、実際は、橋の模型を作って風洞室で風をあてて、その影響を観測するという手法なのだそうです。単純な形でも風の影響をコンピュータ上でシュミレーションすることは、現在のコンピュータをもってしてもかなりの時間がかかり、結局は模型で実験するほうが確実だということです。
そういえば、「北京で蝶がはばたくと、ニューヨークで嵐が起こる」といった表現を聞いたことがあります。バタフライ効果というそうで、「最初の条件の小さな差が時間とともに大きくなって、最終的には大きな違いとなる」ということをあらわしたものだそうです。
橋作りの模型実験でも、橋の上に一本のケーブルを通したり、転落防止の柵の形を少し変えるだけでも、風の影響は大きく変わり、再度、実験をしなければならないそうです。
明石海峡大橋では実際の設計ができるまでに百パターン以上(細かいものも含めれば千近く)もの橋の風洞実験が行われたそうです。 日本の橋づくりの技術は世界でもトップクラスだそうです。そんな日本において科学的な視点を取り入れた橋作りの第一弾が、実は北九州市の若戸大橋なのだそうです。そして、この若戸大橋の技術が、関門大橋、本四国連絡橋へと引き継がれたのだそうです。
なんと、北九州市には日本の橋の金字塔が二つもあったなんて!全く知りませんでした。
ここから先は、講演終了後のいつもの飲みながらの話を踏まえて、管理人が思ったことです。

こうした橋づくり技術を支えているのは、研究技術もさることながら、実際、現地で施工する作業員の方々の技術力が大きいのですが、近年は日本での大きなプロジェクトはなくなり、橋作りに欠かせない、巨大な風洞室の廃止や作業技術者の経験不足から、今後の橋作りニッポンを継続するには危機的な状況なのだそうです。
「プロジェクトX」ではありませんが、技術というものは伝える側と伝えられる側が途切れなく連続することで、向上していくものであると思います。継承が途切れた技術を再び取り戻すことはほとんど不可能なことなのではないでしょうか?例えば古代エジプトで巨大ピラミッドを建設した技術も継承が途切れることでその方法は謎に包まれ、その再現は空想の域を超えることができません。
もしかすると世界の七不思議とされる巨大建造物は技術を継承、向上していくためにエスカレートしていった巨大プロジェクトが国家の財政破綻とともにその技術の継承が途絶えてしまい、謎だけが残ってしまったというものかも・・・
決して肯定するわけではありませんが、無駄だとされ敬遠される巨大事業にも高度な技術力を継承し、高めていくという役割があるのかもしれません。
技術と知識とは異なると思います。知識は文字などで残せますが、技術は人と人のつながりで継承されるものだと思います。今回、日本の研究者がノーベル賞をとりましたが、そこにはやはり研究技術の継承という人と人との技術の継承があったからこその成果だったそうです。
インターネットが普及し、あらゆる物事がデジタルとしてあせることなく記録される時代になっても、我々が人間である限りは、人と人とのつながりでしか、継承し、向上していくことはできないと思います。カフェペディアも人と人とのつながりで何かが継承されていく場になることができるのでしょうか?
風工学の話から大きくそれてしまいましたが、そんなことを考えるきっかけを得た夜でした。
木村先生ありがとうございました。「人間モモンガプロジェクト」実現させたいですね。まずは保管場所・・・。興味のある方はカフェぺディアで管理人にお尋ねください。
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