2月23日(火)に二周年となる第二十五夜のカフェペディアを北九州市立大学のゴドレールイヴァンさんを語り手に迎えて開催しました。
二周年、しかも二十五回も続くなんて・・・なぜだろう?ふと考えてみました。
カフェペディアが「面白い」と感じているからです。
それじゃあ何が「面白い」のだろう・・・。
毎回のテーマ、そこから広がる様々な世界、いろいろな人との会話、深まる自身の思考・・・。私自身が「面白い」と感じることはいろいろあります。しかし、その「面白さ」はカフェペディアに集まる人それぞれで異なるでしょう。
それぞれの人が自分自身の感じる「面白さ」を発見できる。そしてその発見は各回の語り手が伝えてくれる語り手自身が感じている「面白さ」に触れることで、語り手の「面白さ」と聴き手の「面白さ」が反応して、また新しい「面白さ」が聴き手自身の中に生まれる。
うーん、わかりにくい・・・。
簡潔に言えば、”「面白さ」の連鎖反応による無限増殖!”(余計わかりにくい?)
それを可能にしているのは何か?
この報告書に掲載する写真を整理しながら気づきました。
語り手の方と参加者の距離(空間的、心理的)の近さでしょう。語りの時間の前ですが、語り手と参加者の会話が生まれます。
演壇の上に立つ講演者でもなく、ブラウン管(今は液晶か)越しに見るTV出演者でもなく、文章越しに感じる著者でもなく、目の前にいる人との会話。これこそが「面白さ」を生んでいるのだ!二周年にして初めて気づきました。このカフェペディアの雰囲気は今後も大切にしていきたいと思います。
いつもは報告書の最後の方で脱線するのですが、今回は最初に脱線してしましました。申し訳ありません。
それでは、ゴドレールさんによる「ロボット」をテーマにしたお話から発見した「面白さ」を報告します。
ゴドレールさんはスロヴェニア共和国出身です。といっても日本には20年以上いらっしゃいます。ゴドレールさんが大学で教えている学生よりも日本歴が長いのです。しかも、ゴドレールさんは学生時代に初めて来日し、ヒッチハイクで日本中を巡った経験の持ち主、そんじょそこらの若者よりも日本を知り尽くしています。そんなゴドレールさんを前にして、私はゴドレールさんの出身国、スロヴェニア共和国のことを何も知りません・・・。話はスロヴェニア共和国の紹介からスタートしていただきました。
その中でも私自身の中で「へーっ」ボタン(古いでしょうか?)が連打されたトピックスを一つ紹介します。北九州市にも広がるカルスト地形と鍾乳洞。スロヴェニアは鍾乳洞がたくさんあり、カルスト地形の「カルスト」はスロヴェニアの地名に由来しているそうです。
いよいよ「ロボット」です。まずはロボットの歴史から。
「ゴーレム」。TVゲームでよく登場します。もともとはユダヤ教のお話に出てくる人間の命令通りに動く土人形です。
続いて「フランケンシュタイン」。これも有名ですね。フランケンシュタイン博士が作った人造人間です。
そして日本でロボットと言えば「鉄腕アトム」。

ここまで紹介されてふと気づきました。「ロボット」とは人間の姿形にそっくりで人間の命令を聞く存在としてイメージされてきたのでは?
現実社会で現在活躍しているのは産業用ロボットです。しかし、私自身のイメージでは、産業用ロボットは「ロボット」というイメージではなく「機械」というイメージです。
なぜか?人間の命令、というかプログラム通りに動きます。しかし、姿形は人間にそっくりではありません。ここが私にとっては産業用ロボットに「ロボット」というイメージが感じられない点です。
気になったので「ロボット」という言葉を調べてみました。
広辞苑によると
①複雑精巧な装置による人工の自動人形。人造人間。
②一般に目的とする操作・作業を自動的に行うことのできる機械または装置。
③他人に操縦されて動く人。傀儡。
wikipediaによると
1.ある程度自律的に連続した自動作業を行う機械。
2.人に近い形および機能を持つ機械。
これから判断するとやはり産業用ロボットはロボットです。
姿形が人間らしくないとロボットだと思えないのは鉄腕アトムの影響でしょうか?
しかし、やはり人が人型のロボットに感じるイメージは特別なのではないかとその後に紹介されたロボカップの試合VTRに対する会場の反応を見て思いました。

ロボカップとは「2050年、人型ロボットでワールドカップ・チャンピオンに勝つ」を目標に、
シュミレーションリーグ(コンピュータゲームのような感じで、仮想空間上で人工知能の選手がサッカーをします。)、
小型ロボットリーグ(チーム全体をコントロールするコンピュータが、各ロボットを操作し、サッカーをします。このロボットは小さい車両型で、かなりのスピードでちょこまかと動きます。)、
中型ロボットリーグ(自立型のロボットがそれぞれ状況を判断し、サッカーをします。これも車両型ですが結構大きいので迫力があります。ゴドレールさんが参加しているチーム「ひびきのむさし」はこのリーグで活躍しています。)、
四足ロボットリーグ(ご存知、sonyの犬型(?)ロボットAIBOを使ってサッカーをします。)、
ヒューマノイドリーグ(二足歩行のロボットがサッカーをします。)、
ロボカップレスキュー(仮想空間で、レスキュー活動を競います。サッカーはしません。)、
ロボカップジュニア(子どもたちがつくったロボットがサッカーをします。)
など様々なジャンルに分かれてロボット大会が開かれています。ロボカップはこうした大会を通じて切磋琢磨し、技術開発を進めていこうという取り組みです。
最初に紹介されたVTRは小型ロボットリーグです。
かなりのスピードで無駄なく動き、ボールをはじいてパスをし、ゴールする様子は、サッカーをしているというよりも産業用ロボットが自動車を製造している様子を見ているのと同じような感じを受けました。
続いてのVTRは四足ロボットリーグです。犬型のロボットがヨチヨチと歩きまわり、ボールと戯れる様子はとてもサッカーとはいえないのですが、小型ロボットリーグを見て感じるものとは違い、ハイハイしている赤ちゃんをほほえましく見守っている感じがしました。会場のからもほほえましいものを見たときの笑い声が出ていました。
そして次はヒューマノイドリーグです。二足歩行のロボットがサッカーをしていますが、これも四足ロボットリーグと同じく、とてもサッカーではありません。歩きがぎこちない。ボールを蹴ろうとしてボールの上にのってしまいこける。何もないところでこける。これが本当のサッカーの試合だったらひどいものです。しかし、一番会場から声が上がったのはこのリーグのVTRでした。ロボットがこけるたびに「あっ!」という声があがります。と、私も「こける」という表現を使ってしまっていますが、ロボットなのですから「こける」ではなく「倒れる」という表現でもいいはずなのですが、なぜか、二足歩行のロボットが倒れると「こけた!」と思い、さらにはこけた「痛み」まで感じたような気がして、思わず「あっ!」という声が出ます。

そして中型ロボットリーグですが、これはロボットのスピードもあり迫力があるのですが、「へーっ」、「おーっ」という感じはするのですが、ロボットの感覚の共有という点ではヒューマノイドリーグの試合には及びません。
現在、それぞれのリーグで活躍するロボットのVTRを見ましたが、正直言って「とても人間とサッカーなんてできないよなー」と思います。しかしながら、すべてのリーグに参加するロボットたちの技術開発が進み、その技術が統合された時、ロボットと人が対等に試合ができるようになりそうな気がします。
ゴドレールさんはさらに加えて、人間と一緒にサッカーをする。さらには人間と一緒の環境で存在するには動きのやわらかさが必要だと考え、歯車を使わないロボットの機構の研究開発もされています。手だけのロボットですが、実際の生物のように腱をひっぱり間接を動かすので歯車のようにがっちりした動きではなく、やわらかな動きができます。

様々なロボットを紹介していただきましたが、四足ロボットやヒューマノイドロボットのVTRの際に会場からおもわず出た声のように、ロボットという存在に感覚の共有感を期待してしまうのは、なぜなのだろう?いったい人間に似た機械に何を求めているのだろう?と思いました。
どこで聞いた言葉かは忘れましたが、「ロボットを研究するには人間を研究しなければならない」そうです。これを裏返せばヒューマノイドロボットの研究は人間とは何か?という問いを研究しているのかもしれません。「人間とは何か?」その問いは手法は全く違いますが哲学の世界でも問い続けられていますし、生物学や化学、物理学、文学、音楽・・・様々な分野で問い続けられている共通の問いであるような気がします。
いや、こういった学問の世界だけではなく我々の日々の生活の中で「何のために生きているのだろう?」などとふと思ってしまうのは、人間が自分自身の存在がなんであるかを知りたがる生き物であるからかもしれません。第二十二夜でチンパンジーが自分を認識できるか?と話題がありましたが、鏡を見て自分を認識するという技術も人間が自分自身の存在を知りたいと考える中で発明した技術なのかもしれません。
その他にも人工知能や学習ということについて話を伺いました。
現在の人工知能はある課題に対して最適解を見つけることはできるが、その課題が変わると全く対応できない。つまりチェスができる人工知能でもサッカーはできないということです。そこが人間と根本的に異なっている部分だあり、人工知能が到達できない部分だそうです。
ゴドレールさんがなぜロボット工学をやっているのか?その面白さは?という質問に対し、「ロボットをやれば機械も電気もソフトウェアもいろいろできる。一つの分野だけをやりたくはない」と答えていただきました。この答えこそが人工知能と人間の差を生む原動力だと感じました。
語りの時間後は、恒例のフリートークの時間です。

いつもながら話はいろいろな方向に広がります。その中で驚き(?)の事実が明らかになりました。第八夜で語り手をつとめていただいたいのちのたび博物館の藪本さん(カフェペディアの常連です)とゴドレールさんが偶然(?)にもナマケモノの二間接筋をテーマにしたシンポジウムに参加していたということで、ロボットがテーマのこの夜になぜかナマケモノの二間接筋はすごいという話で盛り上がっていました。二周年にふさわしくそれぞれの「面白さ」が新しい「面白さ」を生んだ夜でした。
またもや、長文でまとまりのない報告書となってしましましたが、これがカフェペディアの報告書の特徴だということでご了承ください。
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