Cafepedia(カフェぺディア)とはcafe+encyclopedia(百科事典)を合成したもので、「百科の学術」つまり生物や物理、文化や社会、芸術や音楽…etc様々な「科学」をキーワードに、様々な方々を語り手に迎え、知的好奇心をくすぐる様々な話題をつまみにして、おしゃれなカフェで飲み物を片手に楽しい時間をすごそうという企画です。

カフェに参加している人だけでなく、その場に居合わせたお店のお客さん全員が、「科学」の話をBGMにお酒を楽しめるような雰囲気を生み出す。科学夜話”Cafepedia(カフェペディア)”はそんな粋な空間を目指しています。

2010年5月1日土曜日

報告書 第二十八夜「動物園から見えてきたこと~写真家の世界~」

4/23(火)に写真家のさとうあきらさんを語り手に迎えてカフェペディアを開催しました。

実は私は写真家の方とお会いして、お話を伺うのは初めてで、写真家というと芸術家!芸術家というと気難しい人という勝手な想像と思い込みが膨らんでおり、今回はどんなカフェペディアになるのかと実は少々緊張しておりました。が、今までカフェペディアで様々な方々に出会ってきたのにも関わらず、○○だから△△だろう・・・と勝手な思い込みをしてしまっていた自分に気づき、恥じています。そのことはさとうさんの語りの雰囲気とともに、動物写真についてのある話で気づかされました。どのような話だったのか、それを今回は報告していきたいと思います。

語りの時間前から、多くの方が食事を楽しんでいらっしゃいました。実はお店のスクリーンにさとうさんの撮影された動物園の動物たちの写真がスライドショーで映し出されていたのですが気づかれたでしょうか?
さて、いよいよ語り手の話のスタートです。
スクリーンに映し出される写真をバックに今、到津の森公園で写真展を開催していること、そのなれ初めから話が始まりました。そして、動物園で写真を撮るようになったのは・・・。というところで、いきなりさとうさんから会場に向けて「なんか質問あります?」
このパターンは初めてです。しかもいきなりの展開に会場からの質問が出そうにないと逆にさとうさんから会場に質問です。「どうして今日のカフェペディアに来たのですか?」と。


時には質問、そして逆質問、さらには即興のクイズなど、語り手と聴き手の会話で話が進んで行き、どこにたどり着くかわからない。ライブ感たっぷりの展開です。次第に会場の聴き手からも自然と質問が出てきます。
「植物ではなく動物を撮っているのはどうして?」
さとうさんの答えはいたってシンプル、
「好きだからです。」
さらに答えは続いて、
「動物のことをもっと知りたい、自分で知りたい、だから写真を撮っている。」
これって、すごく深い答えだと思います。


「自分で知りたい」
情報化社会と呼ばれている時代に生きている私たちはあふれんばかりの量の情報の中にいます。その中で”知っている”ということは、本、TV、インターネットで知識を得ることであると思い込んでいます。でも、そうやって得た知識は誰がどうやって得た知識かは定かではありません。もしかすると自分が”知っている”と思っている知識は他の人の思い込みの知識なのかもしれません。
さとうさんの言う
「動物のことをもっと知りたい、自分で知りたい、だから写真を撮っている。」
は写真を撮るという行為を通じて、自分の目で見て考えて、動物のことを知りたいということです。ですから、それはさとうさん自身の”知っている”であり、揺るぎない知識であるのだと思います。

「動物写真を撮るときは動物の行動を予測する。そしてその瞬間をひたすら狙って待って撮る」のだそうです。

行動を予測する。これは聞いたとき、さとうさんが動物のことを”自分で知りたい”と思っており、そして”知っている”からこそできることであると感じました。例えば、イチロー選手はボールをどんな場所にでも狙って打つことができるそうです。そこで、ボールの軌道がこうであるときはバットの軌道をこうやって、この力で打てば、この場所にボールが飛んでいくということを私がイチロー選手に教わり、完璧にそれを理解したとしても、私はイチロー選手のようにヒットを打てるわけがありません。ボールを打つ技術は、いろいろなコーチに打撃技術を教わったとしても、その教わった知識をイチロー選手が”自分で知った”からこそできる技術なのだと思います。
何が言いたいのか自分でもよくわからなくなってきましたが、さとうさんが「動物のことを、自分で知りたい」と思っているからこそ、動物の行動を予測し、狙った瞬間の写真が撮影できるのだと思います。

さとうさんの写真は図鑑にもよく使用されるそうで、ある時、図鑑に載せるカバの写真を求められ上野動物園のカバの写真を渡したところ、上野動物園のカバはキバが大きく外に曲がっているそうで、図鑑の編集者からもっとカバらしいカバの写真が欲しいといわれたそうです。カバらしいカバって何?ということになるのですが、実物の多くのカバに出会う機会のない人にとっては、カバというものはこういうもんだ!という周りから与えられたステレオタイプが存在し、それを基準にカバを考えていて、その基準をはずれるカバは図鑑には載らなくて、さらにカバのステレオタイプは強化されていくのか・・・。などと思いながら、はっと気づきました。
冒頭に私が写真家の方とお会いするのは初めてで写真家=芸術家=気難しいと無意識のうちに思っていたのは私が勝手な写真家のステレオタイプを作っていたのではないか。そして気さくで軽快な語りのさとうさんが写真家らしくないと感じているのもそれに基づいている。と気づいたとき、「自分で知りたい」というさとうさんの言葉がずっしり私の思考にのしかかってきました。

これまで、カフェペディアで多くの語り手の方や聴き手の方にお会いし、そして様々な分野の世界に触れてきましたが、「会って話してみると、おもしろい方だなー」とか「この分野は難しくて絶対に理解できないと思ってたけど、意外に自分の興味あることと関係が深いなー」と感じることばかりでした。私は様々な分野やその分野を楽しむ人をステレオタイプで捉えてきていたのだと思います。私にとってカフェペディアは様々な世界や人たちを「自分で知りたい」という気持ちの表れなのかもしれません。
またまた、報告書を書きながら思考が迷宮にさまよってしまい、何が書きたいかわからなくなってしまいました。


話は前後しますが、さとうさんが動物園の動物を撮影するようになった理由も興味深く、考えさせられました。動物が好きで動物の写真を撮っているさとうさんですが、当初は野生動物を撮るために動物園の動物撮影で技術を磨いていたそうですが、ケニアに野生動物の写真撮影に訪れた時、気づいたそうです。ケニアでも野生動物は国立公園の中でレンジャに守られて生きている。野生動物とはいえ、国立公園に囲い込まれている。人間による囲い込みの野生動物の究極が動物園である。動物園の動物の生活を撮っていこうと思い、動物園の動物を写真を撮るようになったそうです。
人間による野生動物の囲い込み、認めたくはないのですが、実際はそうであるのかもしれません。野生動物の究極の囲い込みが動物園、そのように動物園を考え、新しい視点で動物園を訪れるとまた新たな思考が生まれてきそうです。動物園に行ってみよう・・・。

語りの時間終了後はいつものようにアフターカフェペディアです。
途中の片付けがどたばたして、もう終わりかなという雰囲気を会場にかもしだしてしまい、帰られる方が多くいらっしゃいました。次回からはアフターカフェペディアを楽しもう!という雰囲気を生み出すようちょっとした工夫を考えていますので、ぜひアフターカフェペディアも楽しんでいってください。
で、今回のアフターカフェペディアでは・・・

さとうさんの写真集に(無理矢理?)サインをしていただきました。そして尽きることのない話の連鎖反応・・・。気づいたときにはやっぱり日付が変わっていました。さとうさん、遅くまでお付き合いいただきありがとうございました。次はぜひ動物の「おしり」の写真をたくさん見せてください。

0 件のコメント: