Cafepedia(カフェぺディア)とはcafe+encyclopedia(百科事典)を合成したもので、「百科の学術」つまり生物や物理、文化や社会、芸術や音楽…etc様々な「科学」をキーワードに、様々な方々を語り手に迎え、知的好奇心をくすぐる様々な話題をつまみにして、おしゃれなカフェで飲み物を片手に楽しい時間をすごそうという企画です。

カフェに参加している人だけでなく、その場に居合わせたお店のお客さん全員が、「科学」の話をBGMにお酒を楽しめるような雰囲気を生み出す。科学夜話”Cafepedia(カフェペディア)”はそんな粋な空間を目指しています。

2010年2月25日木曜日

お知らせ 第二十六夜開催!

第二十五夜の知的興奮も冷め遣らぬうちに第二十六夜の開催です! (まだ、第二十五夜の報告書もできていません・・・)

前回のテーマ科学技術の最先端「ロボット」から時代は全く逆にさかのぼり、今回のテーマは「恐竜」! 語り手を務めていただくのは国立科学博物館の真鍋真さんです。 国立科学博物館は私が東京に行った際に必ず寄る場所です。何度行っても新しい発見があり、ワクワクする空間です。

私が子どもの頃、「ロボット」とともに熱中したのが「恐竜」です。
もちろん今でも博物館で恐竜化石を見るとワクワクするのですが、子どものころとは違ったワクワク感です。子どもの頃は「恐竜、かっこいい!」という興奮でしたが、今、恐竜たちを見て感じるのは「生き物としてのつながり」です。自分自身も含めた現生の生き物たちとのつながりを発見すると恐竜がとても身近で魅力的な存在に感じられます。

今回のカフェペディアでさらに新しい「恐竜」の魅力を発見することができそうで、非常に楽しみにしています


第二十六夜 「最新恐竜学!きほんの『き』」

語り手 真鍋 真さん
     (国立科学博物館 地学研究部 研究官)
     
http://www.kahaku.go.jp/research/researcher/researcher.php?d=manabe

     http://www.kahaku.go.jp/news/apato/apatosaurus/staff/kenkyu.html 

開催日時  平成22年3月3日(水)
        18:00開場~、19:30語り手の話~、20:30フリータイム~

「語り手の話」前後には語り手とのフリートークをお楽しみください。

※カフェでの飲食について
      18:00~19:00 自由に食事をお楽しみください。
      19:30~20:30 ドリンクのみご注文できます。
      20:30~    自由に食事をお楽しみください。
      飲食メニューについては後日、改めてお知らせします。
      お楽しみに!

参加費 無料(飲食については各自でお支払いください。)

場 所  「cream」
      北九州市小倉北区馬借1丁目15-8藤本ビル1F
      TEL093-533-3311
      
http://www.cream-colony.com/

座席などの準備のため、事前におおよその参加人数を把握必要があるため、現段階で参加します。という方は3/1日(月)までに
post@cafepedia.net 担当 梅野 までご連絡ください。

連絡なしでも参加できますので、「急に時間が空いた!」、「今日はちょっと寄り道して帰ろうかな・・・」などなど、お気軽にご参加ください。


2010年2月22日月曜日

第二十五夜のカフェペディアメニュー

18:00開場~19:00開演までの間のカフェペディアメニューの発表です!

●ディナーセット \1250(1drink、プチサラダ付) 3種類よりお選びください。
・キーマカレー
・菜の花とブロッコリーのパスタ(アンチョビソース)
・ポテトとかぼちゃのコロッケプレート

●デザートセット \750(1drink付)
・紅茶のパンナコッタ
・栗のパウンドケーキ
・クルミのガトーショコラ・キャラメルチーズケーキ

●3種のカナッペプレート \1100(1drink付)・鶏レバーペースト・ロースハムのムース・スモークチーズとクリームチーズ※プレートのみご注文のの場合 \750


これ以外のお客様はドリンクのみのオーダーとなります。また、19:00~20:30の時間帯はドリンクのみのオーダー、講演終了後は通常メニューとなります。

2010年2月15日月曜日

お知らせ 第二十五夜開催!

2008年2月にスタートした科学夜話Cafepediaですが、なんと今月の開催で二周年です!

「えっ、もう!」というのが正直な感想です。

この科学夜話Cafepediaは、運営組織とか企画会議などというものもなく、毎回の語り手を囲んでのフリートークの時間に飲み食いしながら、「次はどうしよっか?」「こんな面白い人がいるよ!」といった雰囲気で続いてきました。まさに人と人のつながりで続いている空間です。

全くの手弁当で語り手を引き受けていただいたみなさん(←世話人のやや強引なお願いを聞いていただいております・・・)、いつ開催されるかわからないにも関わらず遊びに来てくださる聴き手のみなさん(←いつも開催告知がギリギリで申し訳ありません・・・)、美味しい食事と素敵な空間を提供していただいているcreamのスタッフのみなさん(居心地が良くて、閉店時間を過ぎても居座ってしまうことも・・・)、多くの方々がCafepediaという”場”でつながり、そしてまた新しい”場”が広がっていく。人と人のつながりがある限り、これからも続いていく”場”だと思っています。

今回もそんなつながりで出会うことができた北九州市立大学のゴドレール イヴァンさんを語り手に迎え、「ロボット」をテーマに開催します。

「ロボット」です!ロボット研究者に会えるなんて!子どものころロボットアニメにどっぷりつかっていた私にこんな日が来るなんて思っても見ませんでした。

実は先日、ゴドレールさんの研究室に訪問しました。いろいろな研究の話をうかがうとともにロボットの様々な動きを実際に見せていただきました。最近、テレビなどでよくロボットを見ますが、実際に目の前で動くロボットは迫力があると同時に何だか不思議な感じがしました。私はちょっとお先に大興奮させていただきましたが、今回も刺激的な夜になること間違いなしです。ゴドレールさんは日本語でお話されます。

第二十五夜 「ロボットはサッカーができるか?~ロボット工学の挑戦~」

語り手 ゴドレール イヴァンさん
     (北九州市立大学国際環境工学部情報メディア工学科教授)
     http://www.kitakyu-u.ac.jp/env/subject/d-media/Godler_Ivan/

開催日時  平成22年2月23日(火)
        18:00開場~、19:30語り手の話~、20:30フリータイム~

「語り手の話」前後には語り手とのフリートークをお楽しみください。

※カフェでの飲食について
      18:00~19:00 自由に食事をお楽しみください。
      19:30~20:30 ドリンクのみご注文できます。
      20:30~    自由に食事をお楽しみください。
      飲食メニューについては後日、改めてお知らせします。
      お楽しみに!

参加費 無料(飲食については各自でお支払いください。)

場 所  「cream」
      北九州市小倉北区馬借1丁目15-8藤本ビル1F
      TEL093-533-3311
      http://www.cream-colony.com/

座席などの準備のため、事前におおよその参加人数を把握必要があるため、現段階で参加します。という方は2/21日(日)までにpost@cafepedia.net 担当 梅野 までご連絡ください。

連絡なしでも参加できますので、「急に時間が空いた!」、「今日はちょっと寄り道して帰ろうかな・・・」などなど、お気軽にご参加ください。

報告書 第二十四夜「九州にすむ川のいきもの~氷河期と火山がつくった分布域~」

1月27日(水)、2010年最初となるカフェペディアを九州大学の中島淳さんを語り手に迎えて開催しました。

今回のテーマは「川のいきもの」。生まれ育った私の居住地の近くには大きな川がありません。コンクリート張りの小さな溝があるのみです。が、その溝に入って、子どものころはよく遊びました。まあ、小さな溝ですから魚はいません。水中で怪しくゆらめくイトミミズや山から流れてきたのか、はたまた海から上がってきたのかわかりませんが石積みの隙間にいるカニにワクワクしました。しかし、それ以上に水の中に靴のままジャブジャブ入っていく(足首程度の深さしかありませんが)感覚が楽しかったように思います。今回の中島さんの話でその楽しい感覚がよみがえりました。さて、どんな話だったのか、報告させていただきます。長文&まとまりのない文になるかもしれませんがご了承ください。

様々な川のいきものの標本を持ってきていただきました。個人的に好きなのはヒメドロムシです。写真と通り、顕微鏡で観察するとその愛らしさがわかります。ぜひ、その魅力を伝えたかったのですが、残念ながら顕微鏡越しの写真を撮影し損ねてしまいました。


さて、今回のタイトルは「九州にすむ川のいきもの」ということで、まずは九州という場所の特徴の説明がありました。

「九州は小さい島で・・・」、えっ”島”!しかも小さい?生まれも育ちも九州の私にとっては衝撃的な事実です。私にとっては九州は九州大陸です。うーん、普段、宇宙の話や地球スケールの生態系、生物の進化などの大スケールな話が大好きで、自然教室の子どもたちにもそんな話ばかりしているのですが、自分が住んでいる九州が島だという認識を持っていなかったという自分自身に驚いてしまいました。

気を取り直して、「九州は小さい割には1000水系もある川の多い島で・・・」、またもや「えっ!」です。身近に小さな溝しかなかった自分にとっては川が多いなんてこれっぽっちも思ったことがありませんでした・・・。


出だしから、「井の中の蛙」とでも言いましょうか、自分の住んでいるところが全く見えていなかったことに気づき大ショックを受けました。

普段は身近なところで十分に生態系の営みを発見できるよと言って、土の中の生きもの探しなどを自然教室の子どもたちと楽しみつつ、その身近な世界と地球や宇宙のつながりを話しているのですが、その中間のスケールの認識が全くありませんでした。「近く」と「遠く」を見すぎていて「日常」の認識を無くしていたことに気づきました。

そんな私の生まれ育った”島”、九州は川が多いため、その生物相は多様であるそうです。特に淡水魚の生物相は多様だそうで、幼少から淡水の生きものに執着していた(本人の表現です)中島さんは、生まれ育った東京から迷うことなく九州の大学にやってきたそうです。なぜ、中島さんが淡水の生きものに執着するのか?それについては最後に報告させていただきたいと思います。

さて、多様な生きものが生息する九州の川ですが、その生物相は大きく4つのタイプに分かれるのだそうです。さらに北部は種数が多く、南部は少ないという傾向があります。それはなぜか?3年間で1200地点で調査した結果(計算すると毎日調査して1日1地点以上)をもとに話していただきました。文章のみで表現するのでわかりにくいですが、なんとか書いてみます。ここで語る”いきもの”は淡水魚などの淡水に住むいきものとして考えるとわかりやすいと思います。

①1500~50万年前、大陸とつながっていて、湿地ができたり、なくなったりしており、まんべんなくいろんな種がいました。
②40万年前、今の九州の形になり、中央に山ができ川の生きものは自由に行き来できなくなりました。
③9万年前、阿蘇山の大噴火で今の大分南部は阿蘇山の火砕流に襲われ、川の生物相は壊滅状態になりました。
④2万年前、海水域が低下し、九州の東部の川は本州の川とつながり、西部の川は中国大陸とつながりました。南部はどこの川ともつながりませんでした。
⑤8千年前、縄文海進という海水面の上昇が起き、低地の川は海に沈み、そこに住んでいた川の生き物はいなくなりました。
⑥4~6千年前、今度は霧島山の大噴火で南九州はその堆積物で埋まり、川の生きものは壊滅的な状態になりました。

そして、現在に至る。

とうことで、火山の影響がなかった九州北部は川の生きものの種数が多く、さらに④の理由で、北東部は本州系の魚、北西部は大陸系の魚が多く分布しています。一方、火山の影響を受けた九州南部は生きものの種数が少ないのですが、最近、噴火した霧島山の影響を受けた鹿児島付近は川の生きもの生息が回復しておらず、種数が少なく、それよりも比較的古い時代に噴火した阿蘇山の影響を受けた、大分南部は鹿児島付近に比べてやや種数が多いという特徴があるそうです。一方、九州北西部にも関わらず種数が少ない阿蘇から有明海に流れる白川は阿蘇山のカルデラが決壊してできた川で比較的新しい川なので種数が少ないということです。

と、一気に書きましたがご理解いただけたでしょうか?

山が火を噴いたり、海が上がったり下がったり、他の川とつながったり離れたり、そんなダイナミックかつ気まぐれ(?)な地球の動きに翻弄されながらも、幸運、もしかしたら根性で生き残った生物たちがそれぞれ長い時間のなかでたどり着いた地域で暮らしているのが九州の川のいきもののおもしろさであると思います。

私にとって九州は九州大陸ですが、川同士がつながらない限り移動できない川のいきもの(淡水魚)たちにとって、今暮らしている川は大海に等しいのでは・・・などと思ったりしたのですが、実は大雨が降って川があふれたり、また、洪水で海の上に淡水層ができたりするとそれを通じて移動することがあるそうです。火山の噴火で壊滅させられる一方で洪水で生息域を広げる。天変地異で世界が狭くなったり、広くなったり、淡水の生き物は弱いのか強いのかよくわかりません。

そんな風に翻弄され現在に至る川のいきものたちですが、さらに大きな事件が起きているということです。それは人的影響というやつです。というと水質汚染とかコンクリート護岸などを思い浮かべるかもしれませんが、中島さんの挙げた人的影響は、「安易な放流」、「安易な生息地公開」、「安易な外来種駆除」です。
「安易な放流」の問題は、放流時に全く意図しない種が混ざることでその地域の生物相に影響を与えたり、また同じ種だからといって違う地域の個体を放流することによる遺伝子が混雑したり、その地域に生息できる個体数以上の個体を放流することで、結局は他の個体が生息できなくなったりということです。
「安易な生息地公開」の問題は業者や悪いマニアによる乱獲を招くこと。
「安易な外来種駆除」の問題は、オオクチバスによる捕食から貴重なトンボのヤゴを守ろうということでオオクチバスを駆除したところ、実はオオクチバスはヤゴだけでなくザリガニも捕食していて、オオクチバスの駆除によりザリガニが増え、ザリガニが水草を食べ、池の中の水草が減り、それを隠れ場としていたヤゴが捕食されやすくなり、ヤゴの数が減ってしまったという実例を挙げていただきました。

最後に、世界に誇る九州の川の生きものたちを紹介していただきました。
中島さんが限りない愛情を注いでいるシマドジョウ、眼が怖いアリアケギハチ、非常に地味なヒナモロコ、研究者もマニアも大好きなタナゴ、絶滅したと言われていたけど九州北部では普通に食べているアオギス、見つけて写真を撮る手が震えたアリアケヒメシラウオ、中島さんがひそかに地位向上を図っているハガマルヒメドロムシ、見た瞬間おおっ!となるベッコウサンショウオ。「淡水も嫌い、塩水も嫌い、微妙な塩分濃度が好きとかわがまま言うから絶滅しそうになるんだ」と時にはきつい言葉も浴びせながら、川の生きものたちを愛情たっぷりに紹介する中島さんは、まさに淡水の生きものたちにとってはツンデレ研究者だなーと思いました。

最後に中島さんが川のいきものにひきつけられる理由を聞いてみました。
「いきものは海から生まれた。淡水出身のいきものはいない。地球上で約3%しか存在しない淡水に頑張って生きている。そのはかなさが心を引きつける」のだそうです。

「はかなさ」に魅かれる。情緒あふれるその言葉がすごく印象に残りました。

語りの時間後のフリートークでは多くの方々を囲んで、夜遅くまで話が続き、私もついつい飲みすぎてしましました。最終的に解散した時間は店の閉店時間をかなりオーバー、申し訳ありませんでした。
申し訳ないといえば、お酒好きでありながら、標本を持ってきてという私のリクエストに答えるため車で来ざるをえなかった中島さん。一滴もお酒を飲まずに夜遅くまで、酒を飲む私たちにお付き合いいただき、申し訳ありませんでした。次回はぜひともたっぷりお酒を酌み交わしながらヒメドロムシについて語り合いましょう。

2010年1月27日水曜日

第二十四夜のカフェペディアメニューです。

18:00開場~19:00開演までの間のカフェペディアメニューの発表です!

●ディナーセット \1250(1drink、プチサラダ付) 3種類よりお選びください。
・キーマカレー
・鶏のラグーと里芋のパスタ
・ソーセージとじゃがいものグラタン(バケット付き)

●デザートセット \750(1drink付)
・バナナのチーズケーキ
・栗のパウンドケーキ
・クルミのガトーショコラ


これ以外のお客様はドリンクのみのオーダーとなります。また、19:00~20:30の時間帯はドリンクのみのオーダー、講演終了後は通常メニューとなります。

2010年1月13日水曜日

お知らせ 第二十四夜開催!

2010年、最初のカフェペディアは九州大学の中島淳さんを語り手に迎え、「川のいきもの」をテーマに開催します。

九州の川には様々な生き物が住んでおり、世界に自慢できる点が多々あるそうです。
どのようにしてその豊かな生物相が育まれたのか?語っていただきます。

以前、語り手の中島さんにミズムシの標本を見せていただきました。ミズムシといっても足に住むかゆいやつではありません。非常に小さな水生昆虫ですが、かなりかわいらしい顔です(あくまでも私の個人的な感想です)。当日もいろいろな標本が登場するのでは・・・と期待しております。

第二十四夜  「九州にすむ川のいきもの~氷河期と火山がつくった分布域~」

語り手 中島 淳さん
     (九州大学工学研究院流域システム工学研究室 日本学術振興会特別研究員PD)
     http://kuromushiya.com/koushiki/top.html

開催日時  平成22年1月27日(水)
        18:00開場~、19:30語り手の話~、20:30フリータイム~

「語り手の話」前後には語り手とのフリートークをお楽しみください。

※カフェでの飲食について
      18:00~19:00 自由に食事をお楽しみください。
      19:30~20:30 ドリンクのみご注文できます。
      20:30~    自由に食事をお楽しみください。
      飲食メニューについては後日、改めてお知らせします。
      お楽しみに!

参加費 無料(飲食については各自でお支払いください。)

場 所  「cream」
      北九州市小倉北区馬借1丁目15-8藤本ビル1F
      TEL093-533-3311
      http://www.cream-colony.com/

座席などの準備のため、事前におおよその参加人数を把握必要があるため、現段階で参加します。という方は1/25日(月)までにpost@cafepedia.net 担当 梅野 までご連絡ください。

連絡なしでも参加できますので、「急に時間が空いた!」、「今日はちょっと寄り道して帰ろうかな・・・」などなど、お気軽にご参加ください。

2010年1月12日火曜日

報告書 第二十三夜「知の巨人、ベイトソンからはじめる臨床心理学超入門!」

12月17日(木)、2009年最後となる科学夜話Cafepedia第二十三夜を九州工業大学保健センターの菊池悌一郎さんを語り手に迎えて開催しました。

前回のカフェペディアでは”心”の進化がキーワードで、いろいろと考えることが多かったのですが、今回も臨床心理学がテーマということで”心”についてさらに考えをめぐらせる夜となりました。

「グレゴリー・ベイトソン」、菊池さんから今回のカフェペディアのテーマを伺うまで、全くその名を知りませんでした。臨床心理学の主流かというとそうでもなくて、ベイトソンの思索はいろいろな分野で理解、解釈され、活用されているようです(現在、ベイトソンの「精神の生態学」を読んでいますが、本当に幅広い内容ですが、読み手にとってそれぞれ解釈の仕方が変わってくるだろうなという感じがしています。)


「臨床心理学の分野で、ベイトソンはマニアックな話になります。」という菊池さんの”マニアック”という部分に惹かれてしまった私です。

幅広いベイトソンの思索ですが、今回は「コミュニケーション理論」、「ダブルバインド」、「学習理論」の3つのキーワードについて紹介していただきました。

まずは「コミュニケーション理論」。
動物園で子ザル同士がじゃれて遊んでいるのを見ていてベイトソンは思いついたそうです。
「じゃれる行為自体は歯をむき出したり、噛み付いたりと戦いの行為であるが、そこには行為をやっている方にも外から見ている側にも遊びであるということがわかる。”戦い”のようであるが”戦い”ではないことを伝える何かがある・・・。」
言われてみればそうです。

「アイシテイル」という言葉にも
「愛している」という言葉が発せられるときに、その言葉に「なんちゃって」という意味がのっていたり、でもそこには照れ隠しの意味があって、本当に「愛している」と伝わってたり。甘い言い方で「愛している」と行ってもその裏には「ふん!こいつをだましてやろう」という意味がのっていたりするわけで・・・。
つまりは情感や態度、関係性のレベルによって同じコミュニケーション表現(この場合は「アイシテイル」という言葉ですが)でも、意味が異なるということでしょうか。

私はメールや手紙で文章を書くときに非常に悩みます。メールなどでは文字だけでコミュニケーションをとることになるのですが、同じ文章表現であっても相手はきちんと自分の意図するように読み取ってくれるのか不安になります。面と向って話をする際にはこちらの表情や身振り手振り、相手の反応を見ながらそのあたりを推し量ることができるのですが、文字だけだとそれができません。で、結局メールなどの文章は事務的になってしまいます。そのほうが言葉そのものの意味だけになり、明確に意図が伝わるような気がするからです。でも、事務的な文章を相手が受け取ったら「なんか冷たい感じ」とか感じられてしまうのでは・・・などと思ったりもします。

・・・そうか!それで絵文字とかが発達してきたのか!とひらめきました。しかし、私は絵文字は使えません・・・。


さて、コミュニケーションにその状況によっていろいろな意味がのってしまうということで、ダブルバインドという状況が起きてしまいます。
ダブルバインドとは・・・例をあげていただきました。

精神科病院に入院している息子に母親が会いにきた。
久々にあった母親に息子が抱きついた。
母親は体をこわばらせた。
息子はそれを感じ、手を離した。
母親は「私のことが好きではないの?」と聞く。
息子は顔を赤らめる。
母親は「まごついちゃだめよ。自分の気持ちに素直にならなければ。」と言う。
その後、息子はパニックになった。

「好きになりなさい」といいながら「体をこわばらせる」、母親の行為と言葉は矛盾しており、その矛盾した状況下にありながら、その場から逃げられない状況ににある。これがダブルバインドの状況にあるということです。

例えば母親が子どもを怒った表情で褒めるというときに子どもはどう理解していいかわからず混乱してしまう。しかも母と子の関係から逃れられない(竹中直人の笑いながら怒る人を思い出してしまいました。)。そういう状態がつづくと心理的に病気になってしまう。

「本音はこうだけど、建前上こうしろ!」とか不条理なことを仕事だから逃げられずにやらなければいけない。などといった状況は社会人であれば結構出くわす機会があるように思えます。
・・・そうか!社会人のストレスというのもこのダブルバインド状況によるものが結構多いのでは!と、ひらめきました。

というコミュニケーションの矛盾が生み出すダブルバインドはマイナスな印象ですが、実はクリエイティブなものを生み出すきっかけにもなるそうです。
またまた、ベイトソン。今度はイルカを研究してひらめきます。


イルカが芸を覚え、その芸をすると餌がもらえる。
ある日、同じ芸をやっても餌がもらえない。
イルカはなぜもらえないのか混乱する。
イルカはやけっぱちになり、新しい行動をする。
そうすると餌がもらえた。
新しいことをすると餌がもらえると言うことをイルカは学習した。

ダブルバインド状況から脱するために新しい方法を学んだ。
新しい方法を学ぶことで、ダブルバインド状況から脱した。
ダブルバインド状況が新しい方法を生み出した。
うーん、どの表現が正しいのかわかりませんが、ダブルバインドが、その人が新しい段階へと成長するきっかけになったということでしょう。
「学習についての学習が行われた」ということだそうです。
すごくわかります。

私も結構、にっちもさっちも行かなくなるときがあります。と言っても、例えば仕事をどう処理していいかわからずににっちもさっちも行かないというより、心理的な場面でにっちもさっちも行かなくなるということです。中学か高校の教科書にでていた梶井基次郎の「檸檬」の状況です。

「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。焦躁と言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとに宿酔があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来る。それが来たのだ。」

というような状況です。
たぶん、このような状況は他者とのコミュニケーションにおけるダブルバインドではなく、自分の内部の意識同士でのコミュニケーションにおけるダブルバインドによって生じているような気がします。

カフェペディアをはじめいろいろなことを手広くやっているとそこから学習することがたくさんあります。ですが、その中で体験→学習という流れが繰り返されてくると、そのパターンの中で矛盾が生じてくることがあります。そうすると先の「檸檬」状態になってしまいます。その状況は長く続くこともあれば、すぐ抜け出すこともあります。「檸檬」状態を脱したときには、新しい世界が広がるというか、今まで見えてきたことが違って見えるというか、すごくクリエイティブな感覚になります。

ベイトソンの言う、「学習についての学習」というのはこういうことを言うのかなーと妙に納得しました。


今回、菊池さんの話を聞きながら、自分自身に当てはめて、いろいろ考え、新しく気づいた事がたくさんありました。講演後のいつものアフターカフェペディアの時間に、また長々と話込んだのですが、その中で、菊池さんは大学で学生のカウンセリングを行っていますが、学生が卒業時に菊池さんの元を訪れてあいさつにきたりすると、臨床心理士として相手に関わりすぎたと反省するそうです。あくまでも解決方法を見出し、抜け出すのは自分自身であり、臨床心理士はその中で出会う一要素に過ぎないということでしょうか。この言葉がすごくずっしり来ました。

私も子どもたちを相手に自然教室をやってたりしますが、成長した子どもたちが時々遊びに来るのをうれしく思ったりします。そのうれしさの中にはどこか自分自身との出会いがあったからこの子達はこう成長したんだというおこがましい気持ちがあるかもしれません。成長するのは子どもたち自身の力であり、私という存在はその成長の道の途中に転がっていた路傍の石にすぎないのですから。そう思うとまたさらに新しい学習の段階に自分自身が到達してような気がします。

 菊池さんのやわらかく、しかし芯のある語り口調が、私自身が答えを見出す思考へといざなってくれたように感じた2009年、最後のカフェペディアの夜でした。