Cafepedia(カフェぺディア)とはcafe+encyclopedia(百科事典)を合成したもので、「百科の学術」つまり生物や物理、文化や社会、芸術や音楽…etc様々な「科学」をキーワードに、様々な方々を語り手に迎え、知的好奇心をくすぐる様々な話題をつまみにして、おしゃれなカフェで飲み物を片手に楽しい時間をすごそうという企画です。

カフェに参加している人だけでなく、その場に居合わせたお店のお客さん全員が、「科学」の話をBGMにお酒を楽しめるような雰囲気を生み出す。科学夜話”Cafepedia(カフェペディア)”はそんな粋な空間を目指しています。

2011年7月7日木曜日

報告書 第三十八夜「自分を知ること、相手を理解すること~心理アセスメント入門~」

3月22日に開催した第三十八夜の報告書です。
福岡県立大学人間社会学部人間形成学科の吉岡和子さんを語り手に迎え、開催しました。

「心理学」分野でのカフェペディア開催は今回で2度目となります。前回は2009年12月、第二十三夜「知の巨人、ベイトソンからはじめる臨床心理学超入門!」をタイトルに九州工業大学保健センターの菊池悌一郎さんを語り手に迎えて開催しました。今回は、再度、心理学をテーマにカフェペディアを開催したいと菊池さんに連絡させていただいたところ、吉岡さんを紹介していただき、今回のカフェペディアの開催となりました。語り手から語り手の紹介をしていただく・・・某お昼の番組の某コーナーようです。

語りの時間、スタートです。

「心理学を専門にしている人は他人の性格がすぐにわかると思われがちですが、他人の性格はすぐにはわかりません。」

世間一般の心理学の専門家に対するイメージを最初から否定していただきました。確かにそうです。他人どころか自分の性格ですらよくわからなくなります。だからこそ世間一般では心理学に過度な幻想を抱いてしまうのかもしれません。

続けて、ぼそっと吉岡さんが言いました。
「すぐにわからないことを知っているというのが専門家なのかな・・・。」

専門家の口からでるこの言葉は深いです。
“無知の知”は専門家が語るからこそ重みのある言葉なのですね。素人が“無知の知”を語ったところで知らないことの言い訳にしか聞こえません。


吉岡さんがぼそっと言う言葉、その後の語りでも度々あるのですが、これが非常にしみるのであります。

さらに続けて
「他人の性格はすぐにはわかりません。カウンセラーはまず自分を知ることからはじめます。」

“汝自身を知れ“という言葉を思い出しました。
私としては、この言葉をかみ締めるだけで今回のカフェペディアは満腹のような気がします。

いえいえ、今回のカフェペディアはまだまだ始まったばかりです。

さて、これまで私は“心理学”と“臨床心理学”ごちゃまぜに言葉を使っておりましたが、そもそも心理学と臨床心理学はどう違うのでしょうか?

心理学は大きく分けて基礎心理学と応用心理学に分けられます。
基礎心理学では実験などを通じて、心理を科学的に捉え、一般法則を導き出していきます。一方、応用心理学は基礎心理学をベースに実際の問題や人を支援していきます。臨床心理学はその応用心理学の一部門だということです。

前回の語り手の西田さんにうかがった物理学が基礎物理学と応用物理学にわかれているという話を思い出しました。どの分野も基礎と応用に分かれているのですね。

臨床心理学を基盤に実際の現場に当る専門化は臨床心理士と呼ばれますが、これは国家資格にはなっていないそうです。なぜならば国家資格となると臨床心理士と一つの分野にまとめることになりますが、応用心理学の分野は幅広いためその調整がなかなかうまくいっていないそうです。

臨床心理士の領域は、スクールカウンセラーなどの教育分野から医療、保健、福祉、労働、産業など様々な分野にわたります。吉岡さん現在は大学の研究者ですが、過去そして現在もいろいろな分野での臨床心理士としての活動を行っているそうです。

実際の現場ではどのようにして臨床心理士は治療(?)を行っていくのか?

まずは臨床心理面接を行い臨床心理士とクライエントの関係性を築いていきます。クライエントには言葉にして癒される人、そうでない人もいます。それに合わせて、精神分析、夢分析、遊戯療法、クライエント中心療法、行動療法、箱庭療法などクライエントにアプローチする方法もいろいろあります。臨床心理士は臨床心理面接を通じて、クライエントにどのような方法があっているのかを確認していきます。

心理療法にはいろいろな方法がありますが、臨床心理士はその全てを網羅しているのでしょうか?もちろん臨床心理士の人はそれぞれの方法を知識的に知っています。しかし、それぞれの臨床心理士に得意分野があり、アプローチの仕方も異なっているとのことです。

会場の菊池さんからも
「落語における上方落語と江戸落語の違いや流派みたいなものです。学ぶ師匠の違いにもよるかなー。」
とコメントがありました。
さらに
「ようは芸風の違いです。」
芸風ですか・・・。なんとなくイメージできました。


臨床心理面接後は、その人らしさを理解しようとする手がかりを得るために臨床心理査定を行います。査定ですが、その人を評価するのではなく、どう支援していくかを探っていくために行うものです。

心理査定は心理アセスメントとも呼びますが、その手法もさまざまです。
知能検査、人格検査、質問紙法、作業検査法、、投影法など様々な手法があり、これらを組み合わせて心理査定を行っていくのだそうです。

吉岡さんはこの中の投影法、ロールシャッハ法について研究をされていました。

ロールシャッハ法はロールシャッハが考案作成した10枚のカードです。
吉岡さん、ロールシャッハの写真を示し、一言。
「第一印象は、かっこいい人だなー。ブラッドピットに似ているなー」
だそうです。


確かにそうかも・・・。

ロールシャッハ法とは10枚のカードに描かれた左右対称の模様が何に見えるかを語ってもらい、その見方からその人のパーソナリティーを探っていきます。10枚のカードはデザイン、示す順番も決まっているそうです。

どのようなカードか見てみたい!と思ったのですが、ロールシャッハ法のカードは刺激が強いので一般の場には出さないようにされているそうです。刺激が強いというとさらに興味がわいてしまうのですが、すごく不快に感じてしまうこともあるそうです。

ロールシャッハ法のカードは示されませんでしたが、スイスのロールシャッハ博物館で売られていたポストカードを見せていただきました。


「何に見えるか?」の問いに会場からは
ネコ、カエル、ヘチマ・・・
などの答えが出ました。

一枚の絵を見て、形で見る人、色で見る人、動きを見る人、ぞれぞれです。10人の人が見れば10人の人の反応の仕方があります。そこにその人が困ったときの対処の仕方やコミュニケーションのあり方が現れるのだそうです。

会場から質問です。
「知り合いの臨床心理士にロールシャッハテストをしてくれと頼んだのだけれども、断られた。知り合いにはできないのでしょうか?」とのこと。

友人や身近な人にロールシャッハテストをするとお互いに自分を出しすぎてしまい、その後互いの関係を保ちにくくなってしまうそうです。

質問された方も知り合いの方にそのようなことを言われ、断られたそうです。

自分の知らない自分を互いに知ってしまうことで関係を保ちにくくなる。
人を知るにはまず自分を知らなければならない。これは最初に吉岡さんが語った言葉です。
自分自身を知らない状態で他人の知らない他人自身を知ってしまうと他人を受け入れることができなくなってしまうのかもしれません。

人同士の関係は自分自身の全てをさらけ出すということではなく、他者を受け入れる態勢をどう自分自身の中に作り上げていくかということの繰り返しのような気がします。そのためには自分自身を知らなければならないというのも納得できます。

話はアサーションに移ります。
アサーションとは自他尊重の自己表現です。
「言うべきことを言う」のもアサーションですが、「言えるけれどもあえて言わないのも」アサーションです。

語りを聞いている時には気づきませんでしたが、こうやって報告書を書いているとロールシャッハ法からの話とアサーションが私の中で一連の流れとしてつながります。

カフェペディア開催前の打合せで吉岡さんとお話させていただいた際に、「心理学は特別なものではなくもっと多くの人が知るべき学問ではないか」という問いをさせていただきました。


最後に吉岡さんの体験を踏まえて、心理学は日常生活でどう役立っているのかなーというところを語っていただきました。

「人は自分自身の物事の捉え方の特徴を知っていることによって相手を客観的に理解することが出来る。」

「人は自分自身の感情や感じを手がかりに相手の理解を深め理解したことを基に傾聴したり、共感したり、提案したりすることができる。」

「人は自分の特徴を理解することによって自分をうまくコントロールできるようになる。」

例えば、「あの人いやだなー」と思ったとき、ユングの“シャドウ”という概念を知っていれば、実が自分自身のいやな部分を見ているのだと考えることが出来ます。

人が疲れているように見えているとき、“投影“という概念を知っていれば、自分が疲れているのを他者に見ているのではと考えることができます。

「臨床心理を学んで、自分自身は生活しやすくなっているかなー」
と、吉岡さんはまたぼそっと言われました。

続けて、
「心理学に触れなくても小説でも映画でも何でも自分を知る手がかりになりますよ。それがたまたま自分は臨床心理だったのかなー。」
と、

何の為に勉強をするのか、何の為に映画を観るのか、何の為に小説を読むのか、何の為に絵を描くのか・・・。

それ自分自身の姿を鏡に映して見るように、自分が生きているこの環境に自分を投影させ、はたまた過去に生きた人々の営みや思索に自分自身を投影させることで、自分を知ろうとしているのだと思います。

私はカフェペディアを通じていろいろな分野の方々に出会い、お話をうかがってきました。それぞれが学問的には全く異なる分野ですが、その時々の自分の抱えている問題や興味関心があることに結びつけて解釈してきたように思います。私は科学夜話カフェペディアを通じて、自分を知ろうとしているのかもしれません。


吉岡さんの語りは常に会場の参加者の様子を確かめながら、そして吉岡さん自身も語りをかみ締めながら進んでいきました。

語りの時間終了後も参加者とじっくりと話をされていました。


後でその参加者からは「話を聞いてもらって、なんだか楽になったー。」との言葉をいただきました。

私のつたない文章による報告書では、吉岡さんのかもし出す雰囲気はなかなか伝わりそうにありませんが、この参加者の言葉が全てを語っているように思います。

今回は吉岡さんを紹介してくださった菊池さんも会場に遊びにきていただいており、アフターカフェペディアの時間には菊池さんによる“臨床心理学は落語である説“の展開などいろいろな話で盛り上がりました。

科学夜話カフェペディア、続けるほどにつながっていく場だなーっと思った夜でした。

2011年7月5日火曜日

報告書 第三十七夜「不思議な現象、超伝導。そのヒミツに迫る!!」

2月23日に開催した第三十七夜の報告書です。
福岡大学理学部物理科学科超伝導物性教授の西田昭彦さんを語り手に迎え、開催しました。

西田さんとは昨年末に福岡大学で行われた福岡県の科学コミュニケーションネットワークSAFnetの立ち上げ式の打ち上げで同じテーブルになり、名刺交換させていただきました。その後、私世話人の突然のメールでの依頼にも関わらず、快く語り手を引き受けていただいたことで、今回のカフェペディアが実現しました。

話のスタートは2027年の開業に向けた整備計画が発表されたばかりのリニア新幹線からです。

リニアモーターカー、日本語で言うと磁気浮上式軌道で、その名の通り磁力で浮き上がり、さらに磁力で推進します。その為には強力な磁力が必要なため、列車内に超伝導電磁石が設置されています。

普通の磁石じゃだめなのかという疑問がわいてきます。通常の磁石、電磁石は電流を流して磁力を発生させるのですが、強い磁力を発生させるには強い電流を流す必要がありますが、電流が強くなればなるほど熱を発生してしまいます。そのため常伝導体による電磁石では1万ガウス、ピップエレキバンの10倍くらい磁力が限界だそうです。一方、超伝導磁石では電気抵抗がなくなるので、強い電流を流しても熱は発生せず、10万ガウスまで磁力を高めることができます。ピップエレキバンの100倍の磁力です!(ピップエレキバンという単位がピンとくるようなこないような・・・)。

上海には既にリニア鉄道が営業しているのですが、これは常伝導磁石で1㎝しか浮かないそうです。それに対して超伝導磁石であれば10㎝は浮くそうで、地震国の日本では1㎝浮上では安全性に問題があり、超伝導磁石を使ったリニア鉄道になります。

強力な磁力を発生できるほかにも超伝導磁石の優れた点は起動時に電流を流し電磁石にしてしまえば、電気抵抗がゼロなのでその後電流を流す必要はないそうです。厳密に言うと超伝導体を冷やす為のエネルギーは必要だけれども、浮いている状態を維持するためのエネルギーは必要ないのです。

リニア新幹線はまだ先の話ですが、実は身近なところで既に超伝導磁石は使用されていて、私はまだ未経験ですが、医療機関で利用されている体の内部を輪切りして見ることができる核磁気共鳴画像法、MRIです!このMRI、トンネルのような装置に入って画像撮影するのですが、このトンネルの周りに液体ヘリウムに満たされた超伝導磁石が組み込まれているのです。超伝導磁石って身近な技術だったのですね。

ここまでの話はイントロダクションだったのですが、話題のリニア新幹線やお世話になったことのある人も多いMRIから話がはじまったためか、スタートから会場から質問がいろいろと飛び交いました。

話はいよいよ超伝導という現象の不思議に迫っていきます。

「超伝導の不思議とは電気抵抗=0と内部磁場= 0二つのゼロです。」

電気抵抗=0はイントロダクションで話題になりましたが、まずはその発見に至るまでの話からです。
電気抵抗とは、電子が金属原子と衝突することで発生します。金属原子は熱エネルギーによる振動し、電子が流れていくのを妨げてしまいます。それでは金属原子の温度を全ての運動が止まる絶対零度-273℃まで下げていくとどうなるのか?という疑問が生じます。絶対温度の概念を導き、その名が温度の単位Kにもなった、ケルビン卿は「絶対零度になると電子も運動を止めるから、抵抗は高くなるなずだ」と考えました。一方、魔法瓶を発明した(魔法瓶発明がメインではありませんが)デュワーさんは「抵抗が無くなる」と予想しました。さて、ケルビンとデュワー、どちらの予想が正しかったのか・・・。

ヘリウムを液化することが可能になり、1911年、液化ヘリウムを使って行われた実験で超伝導状態が発見されました。今年、2011年は超伝導100周年ということで、世界中で様々なイベントが行われているそうです。

西田さん曰く、「今回のカフェペディアもその一つです」。

・・・本当は偶然です。昨年2010年の素数をテーマに開催した第三十五夜のカフェペディア時もカシミール生誕10周年という記念すべき年でした。閃くままに3年前の2月22日にネコの日だからということで、ノラネコをテーマに第1回カフェペディアを開催し、それ以降もいろいろな場で出会った方々に語り手をお願いしてきました。カフェペディアが続けてこれたのには、いろいろな偶然が積み重なったということも要因としてありそうです。こういうことをセレンディピティと言うのでしょうか。このセレンディピティという言葉も第三十三夜のカフェペディアで私は初めて出会いました。

そう思っていると、なんと超伝導の発見もセレンディピティだそうです。温度を下げながら電気抵抗を測定する実験を行っていたところ、装置の不具合で温度が上がったり下がったりしていて、その温度の変化に合わせて電気抵抗がゼロになる状態が発生したり、しなかったりしたそうです。そこで、意図的に温度を上げてたり、下げたりしてみたら、超伝導状態が確認できたということです。さらなる偶然は測定を行っていた水銀の転移温度が冷やす為に使用していた液体ヘリウムの温度と同じだったということです。違う金属を使用していたら、超伝導現象は発見できなかったかもしれません。

転移温度という言葉がでてきましたが、「超伝導は相転移現象」とも言えます。
相転移の定義は「温度、圧力、磁場などによって物質の状態が不連続に一斉に変化すること」となります。
イメージしやすい相転移現象は水が100℃で水蒸気になり、0℃で氷になるというものです。

物質の状態というと気体、液体、固体の3状態しかイメージにありませんでしたが、まだまだ我々の知らない未知の状態があるということになります。さらに想像が膨らんで、宇宙空間の温度は-270.42
℃であるということを聞いた事があります。となると宇宙空間では超伝導状態が普通の状態だということになりますよね。むしろ地球上での状態の方が特殊というか・・・。

となると我々の理解する物理科学というものは特殊な地球限定物理科学となるのでしょうか?
物理科学の究極目標は全て現象を一つの理論で表すといことであると聞いた事があります。未知の条件がある中でそれは本当に可能なのだろうか・・・などと素人考えですが思ってしまいます。

さて、電気抵抗がゼロになる仕組みは、電子がクーパーペアにを組むことで抵抗がゼロになる・・・。理解が及びませんでした。今後、勉強します。
気を取り直して、もう一つのゼロ、磁場ゼロの話です。

これはカフェペディア開催前に西田さんの研究室にお邪魔した際に見せていただいた実験です。開催のお知らせ時に掲載した写真で紹介した。超伝導状態にある超伝導体の上で磁石が浮いているやつです。

よくよく考えると小学生のころ、磁石をN極同士、S局同士で向かいあわせて、浮かせて遊んでいました。ただし、このときには磁石が動かないように支えておく必要がありました。しかし、超伝導体の上に浮いている磁石は何の支えも無く、浮いています。しかも磁石のN極S極の向きを変えても浮きます。なぜ浮いているのか?よくよく考えると不思議です。

これは超伝導体が完全反磁性体であるマイスナー効果によるものなのです。と言ってもピンときませんが、磁石から出る磁力線を超伝導体がはじくことで磁石が浮いているということです。しかもただはじくだけでは、一点にとどまることはできませんが、超伝導体内に不純物が混じることで、その部分にだけ磁力線が通り、それに固定されることで、安定して一点に浮くことになります。これを“ピン止め効果”と言います。純粋な超伝導体だとこの“ピン止め効果“は生じません。不純物が混じった超伝導体でないと“ピン止め効果“は起こらないのです。超伝導磁石をつくるにはこの不純物の混じった超伝導体、第二種超伝導体が用いられるそうで、この”ピン止め効果”がないと超伝導磁石はできないそうです。なぜできないか・・・。理解不足です。勉強します。


さてさて、超伝導体になるのは液体ヘリウムで実現される-269℃という超低温が必要なのですが、1986年に液体窒素による-196℃でも超伝導体になる物質が発見されました。この発見にも、偶然、セレンディピティが作用しました。超伝導体を作る際には物質の構造を検討し、設計(!)を行うそうなのですが、発見時には1:1:3の物質を作ろうとしたのですが2:1:4の物質ができてしまい、この物質を調べてみるとなんと液体窒素で超伝導現象が発生したのです!これが高温超伝導の発見となりました。


さて高温と言っても-196℃です。十分に低温のような気がするのですが、液体ヘリウムを使用する-269℃と液体窒素による-196℃では冷却費用がケタ違いだそうです。液体ヘリウムは1Lあたり2,000円でお酒なみの価格ですが、液体窒素であれば1Lあたり50円程度です。なぜこんなに価格が違うかというと大気中は8割が窒素ですが、ヘリウムは大気中には0.0005%しか含まれていません。高価な理由がわかります。実際は液体ヘリウムは大気中のヘリウムではなく液化天然ガスから精製するそうです。

高温超伝導体の発見でMRIなどの実用分野での低温超伝導体は全て高温伝導体に置き換わるかと思いきや、実は高温伝導体にも問題があって、高温伝導体は焼き物なので硬くてもろく、加工したり曲げたりが困難なのだそうです。なかなか上手くいかないものです。

超伝導体の実用ということで、前述のリニア鉄道や磁石以外にもいろいろと紹介していただきました。その一つが超伝導ケーブルです。超伝導体は電気抵抗がゼロですから電気を送電する際のロスが全くありません。そこでこのケーブルを全地球規模で張り巡らせれば、自然エネルギーによる発電が効率的に行えるのです!太陽光や風力などの自然エネルギーは場所により多寡があります。自然エネルギーが豊富な場所で発電しても使用する場所に送電する際に送電ロスで電流が失われては効率が悪くなってしまいます。そこで超伝導ケ-ブルを使用すれば、太陽光発電ならば昼夜、季節変化を平均化できるし…。その前に国を越えるという難問がありそうです。

いろいろと超伝導の不思議の話を伺いましたが、百聞は一見にしかずということで、実際に実験してみようということになりました。


一斉に参加者のみなさんの目が輝いてきました。
実験テーブル前にみんな集合です。

液体窒素を流し込みます。

「おーっ」

十分に冷えた超伝導体にいよいよ磁石を浮かべます。
「マイスナー状態になっています」


「おーっ」

みなさん一斉にカメラ片手にパシャパシャと撮影会がはじまりました(笑)。

「磁石のNとSをひっくり返しても・・・、浮きます。」

「おーっ」

西田さん、さらに大きな磁石を浮かす為に大きな超伝導体を取り出しました。

「おーっ」

この大きな超伝導体に浮かべる、磁石には地球儀が取り付けられています。これが浮かんで、さらに地球の磁石が回りだすと・・・。


拍手が起きました!

またもや撮影会のはじまりです。今度は動画撮影されているかたも・・・。
(youtubeにそのときの動画がアップされていました。コチラです。)

目の前で超伝導現象を見て、みなさんさらに関心が高まり、

「ふかふか浮かぶ超伝導ベットがほしい」
「落ちたら液体窒素で危ないよ」
「でも、夏は涼しいかもね」

などなど、会場のあちこちで超伝導雑談が沸き起こっていました。

今回のカフェペディアでは貴重な超伝導実験を目の前で見ることができ、みなさん超伝導の不思議を体感することができました。

世話人の私もまさかカフェで超伝導の実験をやるなんて思ってもみませんでした。いやー、やっぱり実験は楽しいですね。もっと学生時代に実験を楽しんでおけばよかったと悔やんでおります。今後もカフェペディアでいろいろと実験をやりたいな・・・とひそかに思う世話人でありました。

西田さん、盛りだくさんの内容ありがとうございました。リニア鉄道、ぜひ体験試乗したいですね。

2011年7月1日金曜日

第四十一夜、開催のお知らせ

6月はお休みしておりましたが、お待たせしました!科学夜話Cafepedia開催のお知らせです!
語り手は第十五夜でナゾの物体、虫こぶの正体について語っていただいた湯川淳一さんです!

私、管理人、役得ながら、これまで語り手をつとめていただいた様々な分野の方々とは、科学夜話Cafepediaをきっかけにいろいろと情報交換をさせていただいております。

湯川さんからもアフリカへの調査の話や「地球温暖化と昆虫」出版の話などのメールをいただくたびに高まる興味関心でわくわくしていました。ずうずうしくも再度の語り手を・・・とお願いしたところ快く引き受けていただきました。

湯川さんに伺いたい話は山ほどあるのですが、今回はタイトルにあるように「地球温暖化」と「虫こぶ」の話。

はるか遠くに生息するホッキョクグマのことは話題になりますが、身近な虫こぶと地球温暖化との関係となると・・・う~ん、聞いた事がありません。

虫こぶは昆虫と植物の密接な関係で形作られるものですから、地球温暖化で植物の生育サイクルが変化すれば、昆虫もそれにあわさざるを得ず・・・。いやいや、昆虫の生活サイクルの変化が先に起こるのだろうか・・・。タイトルから勝手に想像してしまいました。

そうそう、みなさんにお願いです。身近で奇妙な形に変形している植物を見つけたらぜひ採取して会場にお土産としてお持ちください。もしかしたらお宝虫こぶかもしれません。

第四十一夜 「地球温暖化は虫こぶ昆虫と植物の仲を引き裂いてしまうのか?

語り手  湯川 淳一さん(旧所属 九州大学大学院農学研究院昆虫学教室教授)

開催日時  平成23年7月13日(水)
        18:00開場~、19:30「語りの時間」~、20:30フリータイム~

「語りの時間」前後には語り手とのフリートークをお楽しみください。

※カフェでの飲食について
      18:00~19:00 自由に食事をお楽しみください。
      19:30~20:30 ドリンクのみご注文できます。
      20:30~    自由に食事をお楽しみください。
      飲食メニューについては後日、改めてお知らせします。
      お楽しみに!

参加費 無料(飲食については各自でお支払いください。)

場 所  「cream」
      北九州市小倉北区馬借1丁目15-8藤本ビル1F
      TEL093-533-3311
      http://www.cream-colony.com/

座席などの準備のため、事前におおよその参加人数を把握必要があるため、現段階で参加します。という方は7/11日(月)までにpost@cafepedia.net 担当 梅野 までご連絡ください。

連絡なしでも参加できますので、「急に時間が空いた!」、「今日はちょっと寄り道して帰ろうかな・・・」などなど、お気軽にご参加ください。

報告書 第三十六夜 「アングラズーラシア ~動物園のアートな挑戦~」

1月28日に開催した第三十六夜の報告書です。
横浜市立よこはま動物園ズーラシアの長倉かすみさんを語り手に迎え、開催しました。



日本には動物園と呼ばれる場所が300あるそうです。

そもそも動物園とは何ぞやということですが、

「野生動物を飼育して、一般公開している場所」

ですが、それだけでは言い方は悪いですが「見世物小屋」となんら変わらないでしょう。

現在、多くの動物園では教育活動に力を注いでいます。
と言っても、動物園によってその教育活動の方向性、方法は様々です。

動物園における教育活動を特徴づけるのは

動物の展示方法
展示している動物の種類
そしてそこで働く人

だそうです。

長倉さんのフィールドであるズーラシアは

展示方法としては本格的な生息環境展示を行っています。生息環境展示とは動物が本来の生息環境にいるところを見てもらうとともにその環境も見てもらうという展示方法ですが、私もズーラシアに来園した際に生息環境展示のスケールの大きさ、内容の徹底振りに衝撃を受けました。

広大な園内はそれぞれの動物が生息する地域ごとにゾーニングされ、それぞれのゾーンはその地域の気候風土をイメージしたデザインになっています。

熱帯雨林のゾーンの園路を歩いていると植え込みから霧が湧き出してきたり、南米地域のゾーンでは園路脇にオルメカ文明が栄えた地域で見られる人の頭の石像が転がっているなど、動物が展示されている場所以外にもこだわりがあり、園路を散策するだけでもいろいろな発見があります。周辺の雰囲気から作りこまれている点は動物園界のディズニーランド(?)という感じです。

さらに、環境の雰囲気を大事にするためお来園者からスタッフが見えないように裏側を通るなどしているそうです。


この徹底した生息環境展示にも、動物や飼育員と来園者との距離が遠くなってしまうというデメリットがあるそうです。

そして、ズーラシアでの展示動物ですが、オカピやテングザルなどの絶滅危惧種の展示が中心になっているそうです。逆に言うと一般にお馴染みの動物はあまり飼育されていないそうです。

ズーラシアはとても個性ある動物園ですが、その個性ゆえに来園者からは

キリンはいないんですか?

餌をあげられる動物はいますか?

動物に触れる場所はありますか?

などの問い合わせがあるそうです。

そこでズーラシアでは「触る」以外の感覚で動物とふれあうことはできないだろうか?といろいろな取り組みを通じて、動物を介して環境をテーマとして人が主体的に参加する場所としての可能性を探っているそうです。その取り組みをいろいろと紹介していただきました。


“なまけものLIFE“

ズーラシアにはナマケモノはいないのですが、来園者自身にナマケモノになってもらおうという企画で数名の怪しげな動きをするナマケモノパフォーマーが来園者を巻き込み、ナマケモノのスローな生活を体感してもらおうという取り組みです。


“ズーラシアの音楽”

アーティストが様々な動物の前でピアニカをならし、動物の反応を引き出して行き、ともに作曲していきます。言葉にたよらない感覚でのコミュニケーションをどう生み出し、感じていくかという取り組みです。ピアニカの音に合わせて鳴くサル(ドゥクラングール?)の声と表情が印象的でした。



音楽は動物にさわれなくてもできるコミュニケーションで、しかもヒトにも動物にも絶対的な答えがなくお互いに模索していくことが出来ることが重要ではないかと長倉さんは語られました。

ふと考えたのはヒトはペットやはたまた植木鉢のサボテンに話しかけたり、さらにはゲーム上のキャラクタと会話したりと、自分と異なる種の生物(生物にかぎりませんが)と積極的にコミュニケーションをとろうとします。ヒト以外の生物ではそのような欲求を持つ生物はいるのでしょうか?ペットを飼育した経験のある方々は迷わず、動物はコミュニケーションをとろうとしていると答えるでしょう。ペット飼育経験のない私には動物は単に環境に作用し、その効果を計っているだけではないかと、ひねくれた考えが浮かんできます。・・・そもそもコミュニケーションとはなんだろう?とわからなくなってしまいました。


“ぞうきんオカピ”

ズーラシアでは実際に動物に触れることが出来ないので、ぞうきんでつくったオカピに触れてみようという取り組みです。ふれあいが活発になるほどぞうきんオカピがぼろぼろになっていくという点が実際の動物にふれあうことと重なってなんとなく考えさせられました。


“アニマルフォトボード”

来園者が写真を撮るボードで、観光地などによくあるやつを動物園らしいデザインでつくってみようという取り組みです。ズーラシアでは来園者が関わることで完成するデザインにしようという発想でフォトボードをデザインしていきました。例えばインドゾウのパネルでは来園者が象と綱引きをしているような写真を撮ることができます。来園者が動物とこういうことをやってみたいと思うだろうなーということをフォトパネルで可能にするわけです。


その他にもさまざまな個性的な取り組みを紹介していただきました。これらの取り組みは動物園から発信するメッセージであり、メッセージを伝えていくためにの様々なデザインが組み込まれています。長倉さんは3つのデザインをあげられました。

体験のデザイン

余白、包容力のあるデザイン

インタラクティブなデザイン

これらのデザインをズーラシアではアーティストと飼育スタッフのディスカッションで実現させていったそうです。

デザインを実現させていく過程にもコミュニケーションが必要であり、その過程そのものがデザインといえるのではないかと思います。


さてさてこれらの取り組みは動物園の教育活動として展開されていったのですが、いったい動物園における教育とは何を目標とするものなのでしょう。そのあたりを最後に語っていただきました。



動物園は生き物を飼育する場所です。そこでは新しい命の誕生とともに死も日常の出来事です。ズーラシアでは開園から10年、動物園で生まれた命は582、無くなった命は515だそうです。動物園は同じような割合で生と死に出会う場所です。

長倉さんに見せていただいたVTRにはガンで弱ったハリネズミの様子が映し出されていました。そして、こう問いかけました。「このハリネズミに対してみなさんはどうしますか?」

できるかぎり延命治療をする

何もせずに自然に最後を迎える

安楽死

会場のみなさんはそれぞれの答えがあるでしょう。

さらに長倉さんは続けます。

動物園の教育、動物園らしい教育とは命が響きあう教育である。

動物園は生き方を考える場所でありたい。答えのないことを考え始めるきっかけ

大切なのは正解を決めることではなく、事実を知って、自分なりの考えをもつこと。

「自分なりの考えをもつこと」

私もとても大切なことだと思います。

今回の長倉さんの話を伺い、こう考えました。

自分なりの考えをもつには多くの人や出来事とコミュニケーションをとる必要があります。自分の中だけで悶々と考えているだけでは自分なりの考えにたどりつくことはできないと思います。さらに常にコミュニケーションを続けていれば、自分なりの考えも常に変化していきます。そうなるときっちり固まった、永遠普遍の自分なりの考えはありえないことだと思います。大切なのは自分なりの考えを持とうとする姿勢、そのために他者とそして自分自身と対話を続けることなのかもしれません。

そう考えると様々な取り組みを実現化させるために、ズーラシア、長倉さん、そして多くの人が行ってきた試行錯誤の過程そのものが、動物園の教育なのではないのかなーと思いました。


2011年最初のカフェペディア、自分自身に置き換えていろいろと考えさせられた夜でした。

長倉さん、体調不良にも関わらず、熱い思いのこもった語りをありがとうございました。

2011年6月30日木曜日

報告書 第三十五夜「素数の力!」

かなり時間が空いてしまいましたが、昨年12月7日に開催した第三十五夜の報告書です。

なぜ、時間がかかったか?言い訳させていただきます。それはこの回の内容を全て理解して書こうとしてしまったからです。これが大間違いでした。理解ではなく感じるままに書けばよかったのです。何を言っているのかわからないと思いますが、この報告書を読んでいただければなんとなくわかっていただけるのではないかと思います。と言っても相変わらず支離滅裂の文章になっているかと思いますが…。

…報告します。

第三十五夜のカフェペディアは九州大学の若山正人さんを語り手に迎え、数学をテーマに開催しました。

タイトルは「素数の力!」。

素数…。
”1とその数自身以外に割り切れない、1より大きな自然数”、学生時代、数学の時間にそのように学びました。それ以降、素数という言葉には触れたことがありません。




…と思いましたが、昆虫に興味関心のある私は”素数ゼミ”を通じて素数に触れていました。

とはいえ、それ以外には素数を考えたことはありません。その素数の”力”とは?

若山さんの話はその”力”の意味するところからはじまりました。

今回のカフェペディアで語られる「素数の力」の一つはカシミール力という数学を使って発見された物理的、微小な力。もう一つは我々の日常生活に使用されている技術としての力です。

日常生活に素数が使われている・・・?

携帯電話などの信号は情報セキュリティーのため暗号が使われているのですが、この暗号には素数が使われているということなんです。

なんと我々は常々、素数にお世話になっていたのですね。素数に思いを馳せなかった自分に反省です。

さて、この素数、いつ発見されたかというと今から2,500年程前、古代ギリシアのクロトンという町でピタゴラス学派の方々が「素数は∞個あるということを証明した」のだそうです。どうやって証明したかというと、背理法で証明していきます。つまり「素数が有限個である」と仮定して、それに矛盾があることを示し、故に素数は∞個あるということを証明するのです。えーっ、詳しい証明はネットで検索すると出てきますので省略します。

で、この素数が∞個あるということが、先に書いた「素数が暗号に利用される」と言うことにつながるわけです。暗号はつくりやすく、そしてその秘密を知らない人には解けないことが求められます。実際にどうやって素数を暗号にするかというと、大きな素数を複数設定し、それらを乗じた数を秘密のキーとするのだそうです。そうすると大きな数ですから、それが整数か素数であるのかの判定も困難になります。つまり、作りやすく、解かれにくいということになります。例えば100桁の数字が与えられて、これをすぐに因数分解、つまり素数の積で表せるか否かということです。

計算機で時間をかけて計算していけばできそうな気もしますが、現代の計算機の能力で素因数分解をするのに100年かかるのであれば、実生活では十分実用的な暗号であるということになります。

話はオイラーのゼータ関数へ…この辺りから私の理解は追いつかなくなっていきます。報告書の内容は私の理解の範囲で書いていきますので間違った理解があればご指摘ください。

まずはバーゼル問題の紹介

1+1/2+1/3+1/4+1/5+1/6+1/7+1/8+…=∞

ですが、

1+1/2^2+1/3^2+1/4^2+1/5^2+1/6^2+1/7^2+1/8^2+…=π^2/6
になるそうです。

で不思議なのがこの分数の部分が偶数乗のときはπがでてくる値になるのですが、奇数乗になるとどうなるのかは不明のままなのだそうです。

感覚的には∞個に数を足せば∞になるように思いますが、必ずしも∞にはならないんですね。


で、

スクリーン上にはさらに理解不能な式があらわれます。

"1+1+1+1+1+…"=-1/2
"1+2+3+4+5+…"=-1/12
"1^2+2^2+3^2+4^2+5^2+…"=0
"1^3+2^3+3^3+4^3+5^3+…"=1/120

普通に眺めれば、これって全部∞になるのでは…と思うのですが、よく見ると式の左辺は""でくくられています。
早速質問です。やりとりを要約すると、

「""はなんですか?」

「解析接続をするということです。」

「解析接続とは?」

「∞へと発散する式は意味がないから、式の関係性を拡張し意味を持たせるのです。」

「・・・?」

「一つの式だと意味が限られる、二つの式を組み合わせると意味する世界が広がる。解析接続とは意味を拡張するとも言えます。」

若山さんにはいろいろと図示していただき説明していただいたのですが、私の正直な感想は

「わかるようで、わからない…。」

ですが、わかるようになるために必要なことはたぶん

数式を数式として理解するのではなく、1、2、3…という個数にとらわれるのではなく、数式があらわすことをイメージとして捉えることができる感覚なのだと思いました。



若山さんはさらにわかりやすく語っていただきました。

「発散しているものにどのように意味をもたせるかが解析接続である。」

「発散を正当にくりこむ」

「見かけの∞、それだけを見ていたら何も見えてこない」

「∞をどうとらえるか?」

「∞とは状態を示すもので、∞を∞のままにしておくことは∞を傍観していることである。」

「∞になっていくことに意味をもたせる。ただし意味を持たせられない∞もある。」

いきもの脳の私としては、生態系をどうとらえるのかに似ている感覚のような気がします。自然環境もただ傍観していては何も見えません。ミクロに、マクロに、様々に関係性を変えて、その捉え方を変化させるといろいろな意味が見出されます。自然界の営みも目に見えるものではありません。背後にあるものをイメージする能力が必要です。例えば花にとまる昆虫を見てその背後にある関係性をイメージできるかということです。かなり話が飛びすぎましたが、若山さんの話を聞いて私が考えたことであります。

さてさて、話はリーマン予想、カシミール効果と続きます。

リーマン予想とは素数の分布に周期性があるということにつながる予想です。最新の計算機で試すと100万個はその予想の上にあるそうです。ですが、いくつあろうが、証明できなければ数学的には意味がありません。ということで未だにリーマン予想は証明されていません。


とここで疑問、素数の分布に周期性があることが判明したなら素数をつかった暗号はすぐに解読されれしまうのでは?

暗号の安全性は下がるけれども、現在でもリーマン予想を仮定した安全度で暗号をつくっているので、実際には問題ないそうです。ただし、革新的な計算スピードを可能にする量子コンピュータが発明されるとあぶないそうです。技術革新が行われるとさらに技術革新が必要になるのですね・・・。

続いて、もう一つの素数の力、カシミール力。
どのような力かというと。真空中に2枚の金属板を並行におくと発生する微小な力です。数学の理論によってその存在が予想されていたのですが、最近ようやく実験で測定されたのだそうです。つまり数学の理論が実際の力を現しているのです。

数学者曰く、「素数と宇宙がどちらが裂きにあったかというと、素数の方が先にあった!」

このカフェペディアが開催された2010年はカシミール力を予想したカシミール生誕101年だそうです。

ここで、若山さん一句

「素在りと目にはさやかに見えねども、空(くう)の力におどろかれぬる」(カシミール効果(真空)の歌)

この歌の元ネタは
「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる」という古今和歌集1111首のうち169番目の歌だそうです。

リーマン予想が提出された年は1859年

出てきた数字を整理すると
この1859は素因数分解すると 1859=11×13^2=11×169
              1111=101×11

全てが関連する!
そんな記念すべき2010年は素数的にも特別な年なのでありました。

正しい命題を証明したとき、数学では「発明した」ではなく「発見した」と言うそうです。数学者、小平邦彦さん曰く、「夏目漱石の『夢十夜』にある運慶が仏像を木から掘り出す話と同じく、数学的事実は我々が知らないだけであるんです。」そういう意味で、宇宙の前に素数はあると言えるのです。

高校までの数学はこった問題がいろいろと出されますが、これは訓練でなんとかなるそうです。しかし、大学での数学は言葉の習得、概念の習得でさらに直観力というものが求められるそうです。

そういう話をうかがって思いました。世界をとらえ、表現する方法には物理学、生物学、文学、絵画、音楽などたくさんの方法があって、数学もその一つなのではないかと。人間が作り出した様々な学問はすべて世界を知りたいという欲求からはじまったものではないかと。そんなことをぼんやり考えました。

ひさびさ(十数年ぶり)の数学の話に私も含めて会場のみなさんはぐったりした様子でしたが、「久々に脳味噌がいい汗をかいた」という感じで、スポーツを楽しんだ後のような、爽快な疲労感に満たされておりました。


参加者のアンケートにも印象的な言葉がありました。「今回のカフェペディアでの話は理解は困難だったけど、詩をきいているような心地よさがあった。」

私もそう感じました。
今回のカフェペディアをきっかけに私の数学観は大きく変わり、数学関連の本を読むようになりました。が、よく理解できないことばかりですが…。数式を絵画を見たり、音楽を聴いたり、イメージとしてとらえることができるようになりたいと思っております。

若山さん、素敵な時間をありがとうございました。

2011年5月9日月曜日

お知らせ 第四十夜開催!

今回でカフェペディアは40回目!ついこの間、ノラネコの話(第一夜参照)を聞いたと思っていたのですが、あっという間ですね~(報告書が溜まりに溜まってしまうのもあっという間です・・・)

なんと今回の語り手は、3年前、2008年6月に開催した第五夜で語り手を務めていただいた竹川大介さんが再び登場です!

「ぜひともこの話題で語りたい!」という語り手からの熱いリクエストにより開催が決定した訳でありますが、

タイトルは『龍』???、しかも北九州市の中心部を流れる紫川に???

詳しい語りのテーマはあえて伏せおきます。今回は謎に満ちたタイトルに魅かれてCafepediaに遊びに来ていただければと思います。

あの竹川さんの語りです。飛び出す話題に驚きの連続ではないかと管理人も楽しみにしております。前回の開催では語りの途中にドッキリが仕込まれておりましたがまさか今回も・・・。

第四十夜 「紫川での生息が確認された『龍』の生態学

語り手 竹川 大介(北九州市立大学文学部人間関係学科教授)
     http://www.apa-apa.net/

     
開催日時  平成23年5月19日(木)
        18:00開場~、19:30語り手の話~、20:30フリータイム~

「語り手の話」前後には語り手とのフリートークをお楽しみください。

※カフェでの飲食について
      18:00~19:00 自由に食事をお楽しみください。
      19:30~20:30 ドリンクのみご注文できます。
      20:30~    自由に食事をお楽しみください。
      飲食メニューについては後日、改めてお知らせします。
      お楽しみに!

参加費 無料(飲食については各自でお支払いください。)

場 所  「cream」
      北九州市小倉北区馬借1丁目15-8藤本ビル1F
      TEL093-533-3311
      http://www.cream-colony.com/

座席などの準備のため、事前におおよその参加人数を把握必要があるため、現段階で参加します。という方は5/17日(月)までにpost@cafepedia.net 担当 梅野 までご連絡ください。

2011年4月21日木曜日

お知らせ 第三十九夜開催!

いよいよ新しい年度が始まりました。しかしながら報告書は・・・。

気を取り直して、科学夜話Cafepedia第三十九夜、開催のお知らせです。

今回は(社)九州テレコム振興センター(KIAI)の広岡淳二さんを語り手に迎え、「情報通信技術」をテーマに開催します。

”IT”という言葉は今ではすっかり馴染み深いものになっていますが、私がパソコンをいじり始めた頃はMSXという規格のPCが全盛でありました。それを使ってBASICというコンピュータ言語を使ってブロック崩しゲームなどをプログラムするわけです。

その当時は”IT”といった言葉はもちろん聞いたこともありませんでした。電話機とカプラという装置を使って行うパソコン通信なるものもありましたが、子どもには手の届くものではなかったし、何につかうものやら”?”でした。

それが今やインターネット、携帯・・・”IT”は日常にすっかりとけこんでおります。今回のタイトルを決定するにあたって語り手の広岡さんと世話人の方々とのやりとりがいろいろとありました。広岡さんから提示されたタイトルには”IT”ではなく”ICT”と記載されていました。調べてみると”IT”は「Information Technology」ですが”ICT”は「Information and Communication Technology」だということです。「Communication」の違いですね。

私がパソコンをいじり始めた頃は、パソコン関連の情報は少なかったのですが、その分、同じ興味を持つ友達とあーでもない、こーでもないとパソコンをいじりながら情報のやり取りをしておりました。パソコンを通じて「Communication」を行っていたわけです。意味は少々違うかもしれませんが「ICT」をやっていたのかも知れません。

私の追想で前置きが長くなってしまいました・・・。

”IT”という言葉がすっかりなじんだ現在ですが、パソコンをいじっていた子どもの頃には全く想像できない世界でした。そして、これから先、”IT”はどのように進化し、どのような世界を創るのでしょうか?今回は未来に胸をときめかせる科学夜話になりそうです。

第三十九夜 「ひとつにしよう九州!~ITで明るい未来を創る~

語り手 広岡 淳二 さん
((社)九州テレコム振興センター(KIAI)事務局長)
http://www.kiai.gr.jp
     
開催日時  平成23年4月28日(木)
        18:00開場~、19:30語り手の話~、20:30フリータイム~

「語り手の話」前後には語り手とのフリートークをお楽しみください。

※カフェでの飲食について
      18:00~19:00 自由に食事をお楽しみください。
      19:30~20:30 ドリンクのみご注文できます。
      20:30~    自由に食事をお楽しみください。
      飲食メニューについては後日、改めてお知らせします。
      お楽しみに!

参加費 無料(飲食については各自でお支払いください。)

場 所  「cream」
      北九州市小倉北区馬借1丁目15-8藤本ビル1F
      TEL093-533-3311
      http://www.cream-colony.com/

座席などの準備のため、事前におおよその参加人数を把握必要があるため、現段階で参加します。という方は4/26日(火)までにpost@cafepedia.net 担当 梅野 までご連絡ください。